七宝とは、銀や銅などの素地にガラス質の釉薬を乗せて800℃程度の温度で焼成したものです。
古代から継承されてきた美術工芸品で、奈良の正倉院の宝物にも七宝が使われた物が残されています。
日本国内では16世紀末の慶長年間から広く製作されるようになりました。
近代では、徳川時代末期から明治にかけて名人といわれる七宝制作者が京都や名古屋を中心に輩出し、 彼らの作品はパリの万国博覧会や明治10年からの内国勧業博覧会などに出品され、 欧米の美術愛好家から絶賛されました。 しかしながら残念なことに明治の七宝は大半が海外に流失し、 海外の収集家の収蔵品になっています。
現在でも日本の勲章はすべて七宝の技法でつくられています。
壺や花瓶の様な大きな作品は、専用の大きな窯が必要ですが、ブローチやペンダントのようなアクセサリーは家庭用の電気炉で手軽に作ることができます。現在では、七宝愛好家がとても増え、 様々な作品の制作に励んでいます。
七宝芸術は、その素晴らしい技術と色彩で近年芸術的評価が高まっています。
◎七宝の作り方
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■準備
作りたい物に合わせて、銅や銀などで出来た素地と素地に乗せる七宝用の釉薬などを用意します。 -
■裏引き
七宝釉薬と素地となる金属では高熱による膨張率が異なりますので、ひび割れなどを防ぐために、素地の裏側に釉薬を盛ります。 -
■釉薬を盛る
自分の考えたデザインに合わせて、素地の表面に釉薬を盛ります。 -
■焼成
電気炉に入れて、釉薬を溶かします。炉から出して温度が冷めれば完成です。
◎七宝の楽しさ
★七宝を作るのにはどれくらいの時間がかかりますか?
小さなアクセサリーでしたら、1,2時間で完成します。手軽に製作できるのが七宝の魅力の一つです。
★七宝の奥の深さとは?
高熱の炉を使って作るものですから、炉の温度や炉に入れている時間によって、出来上がりが変化します。自分が意図していたものとは異なる効果が作品に表れることもあります。
経験や豊かな発想が作品作りに生きる魅力的な工芸芸術です。