第28回国際ジュエリーコンテスト(2015) 受賞作品

平成27年4月8日~14日 上野の森美術館にて

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最優秀賞/Award for the most Excellence

"Alike Mermaid" 

Wu Ching (Taiwan)

 

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優秀賞/Award for Excellence

"ゆきやこんこ"
天沼 三津子

 

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優秀賞/Award for Excellence

"Comer"

TzvHan Fang (Taiwan)

 


 

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上野の森美術館賞/Ueno Royal Museum Award
"Angel's Eye"
Shelly Shen(USA)

 

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清水三年坂美術館賞/Kiyomizu Sannenzaka Museum Award

"歓喜の宴"

深作 千春


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清水三年坂美術館賞/Kiyomizu Sannenzaka Museum Award

"Metamoriphosis"

Mikhei Tsalkamanidze(Georgia)

 

 


 

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無鑑査

”青い花”

福原 かほる

 

 
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無鑑査

"blade of Moon"

丸山 昌子


 

 講評

  • 昨春、パリを訪れた際にルーヴル美術館の隣にある装飾美術館で、中国の明・清朝の有線七宝をまとまって見ることができました。独特な重量感とラピスラズリやさまざまな宝石を連想させる色彩には魅力があります。明治の有線七宝もこれを範としたのですが、ピン・ホールを見せない密度と磨きの繊細さなど、さすがは日本の職人。かなりの違いがあります。釉薬の工夫もあるのでしょうが、明治の有線七宝の色彩は漆器のようなしっとりした深みを感じさせるものです。
    両者の違いは、技術だけではなくて、明らかにその美意識にあります。見るべきはまさにそこでしょう。私自身は、美術を語るときに技術が中心になってはいけないと思っています。だから、あまり「工芸」という区分も考えないようにしているのです。しかし、この考えは技術を軽視するものではありません。イメージを実現するための技術は必要です。また、見る側は作品を通して、作り手の時間を共有したいという思いを常に持って、作品にその痕跡をじっくりと探すものなので、ごまかしはできないかもしれません。
     今回の応募作品は、特に海外のレベルが高く、とりわけその個性的なアプローチは見る人を楽しませるものであろうと思いました。最優秀賞のWu Chingさんは、優れた作品を数多く出品してきた台湾からの選出です。アイデア、デザイン、技術共に抜きんでて魅力的です。優秀賞の二作も、いずれも詩的な秀作です。TzvHan Fangさんの作品は、家をモチーフに見る人のイマジネーションを刺激します。これは国際的なコンテンポラリー・ジュエリーの一つの表現手法にもとづいたものと言えるでしょう。天沼三津子さんは、雪が舞い降りる情景を表現しています。色彩はもう少し挑戦しても良いかなと思いましたが、七宝だけでなく、つり下げられた飾りなど、金工のしっかりとした技術が見られて、あたたかみのある作品になっています。本コンテストは、あくまでジュエリーとして見させていただくので、七宝だけではなくて、特に目に見える金具、ネックレスであればチェーンなどつくる金工にもぜひ、挑戦していただきたいと思います。

    関昭郎(東京都庭園美術館 事業企画係長)